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Japan Blog

ダイバーシティ & インクルージョン

Google 杯 将棋名人戦



今回はいつもと趣向を変えて、社内イベントの模様をお届けしようと思います。

私が個人的に関わっている GPS 将棋が 5 月に開催された第 19 回世界コンピュータ将棋選手権で優勝しました。GPS 将棋は東京大学大学院総合文化研究科のゲームプログラミングセミナーのメンバーとその他の有志が開発しているコンピュータ将棋プログラムです。社内には元高校名人のエンジニアが居ることもあり、結果を聞きつけた有志により社内最強の人間と優勝プログラムの対戦が企画されました。

コンピュータと人間の知恵比べは興味をそそられるテーマであるようで、チェス専用のコンピュータ Deep Blue が 1997 年に当時の世界チャンピオン Garry Kasparov 氏と 7 番勝負をして勝利したことを記憶されている方もいらっしゃるかもしれません。その後もチェスプログラムの改良は続き、現在の最強のチェスプレーヤーはコンピュータプログラムになっています。将棋では公式の場ではあまり対局は行われていませんが、アマチュアトップレベルの強さを有していると考えられており、熱戦が期待されます。

対戦は持ち時間 15 分、切れたら 60 秒の秒読みで 2 局行われました。厳密に強さを競うよりも、みんなで楽しむというイベントの性格上、衆人監視の中で本人の解説付きという人間にはかなり不利な条件での対局となりました。

第 1 局目は初手 7 八金と人間側が定跡から早めに外れる趣向から始まり、その後 3 四歩、2 歩、3二銀、7 六歩、4 四歩、2 五歩 という振り飛車風の出だしになりますが、後手( GPS 将棋)が 3 三角 と指さず、4 二飛 と飛車を振ったために先手(人間)が有利な展開で進みます。その後、見慣れない局面が続き、先手(人間)が小刻みに時間を使いながら進行し、以下の局面で 7 五歩 と指そうとしたところで手が滑り、7 六に歩が戻ってしまって時間が切れてしまいます。最終局面では、後手(GPS 将棋)が桂得で少々優勢ながらまだまだこれからの将棋です。この第 1 局の様子の動画はこちらで見られます。

当初は 1 局だけの予定でしたが、不完全燃焼に終わってしまったため、なるべく最初の将棋を再現しながら、うまくいけば中断局面からやり直そうということで 2 局目が始まります。中断局面から再開すればよいだけのように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、当日使用した対戦用の将棋サーバプログラムではその機能は実装されていなかったため、運用で回避することになりました。

2 局目は問題の 7 手目で後手(GPS将棋)の手が 4 二飛 から 3 三角 に変わり、力戦型の難しい将棋に進みます。以下の図の局面で既に穴熊に組んでいる後手(GPS 将棋)はもうあまり有効な手がないのに対して、先手には 1 六歩 の角取りや、左側の角や桂馬の活用など指したい手がいろいろあります。そこで後手(GPS 将棋)は、3 七角成、同金、6 六桂 という駒損をしての猛攻に出ます。以下、人間のうっかりもあり、後手が細い攻めを繋いで勝利します。2局目の動画はこちらから。

今回は GPS 将棋側の勝利と開発者にとっては嬉しい結果になりました。今がちょうど実力が拮抗している時期であるため、GPS 将棋が強くなりすぎてしまわない間に第 2 回を開催しようという話が既にでています。これからも当分の間は人間の認識能力、選択的な探索能力とコンピュータの計算能力を活かすための人間のアルゴリズムの考案能力との争いを楽しめそうです。