AI 時代における学びの未来
急激な変化の時代において、私たちは皆、常に学び続けています。
先日、Google の学習・サステナビリティ担当チーフ テクノロジストである Ben Gomes が来日し、東京大学の学生に向けて AI と教育の未来をテーマに藤井輝夫総長との特別対談を行いました。対談では、急速に変化するAI時代における学生たちの不安に寄り添いながら、普遍的な「真の学び」のあり方や、激変する市場で鍵となるヒューマンスキルなど、学生からの切実な疑問に答えました。
この大きな変化の時代において、AI がすべての人の学習体験をどのように向上させることができるのか。この対談と、先日、日本語訳版を公開した白書「AI と教育の未来」から、Ben Gomes の発言を抜粋してご紹介します。
AI は、好奇心を増幅させるもの
AI が本当の学びを妨げるショートカットになってしまうのではないかという懸念をよく耳にします。真の学びには、挑戦し、悩み、脳の予測能力を働かせることが必要です。AI に単に答えを求めるだけでは、本当の学びとは言えません。
AI は私たちの好奇心を増幅させる道具であるべきです。AI 時代においては、答えを得ることとと同じくらい、どのような問いを立てるかが重要になると考えています。サステナビリティから貧困まで、世界が直面する切実な課題を解決するためにテクノロジーを活用する際、AI は複数の分野にまたがる複雑な概念を理解する力を与えてくれます。AI を活用して、真に重要な、差し迫った現実世界の複雑な課題の解決にエネルギーを注いでください。しかし、探究への意欲、情熱、そして感情は、常に私たち人間自身から始まらなければなりません。
人間関係と教員の役割はさらに重要に
AI をめぐる議論でしばしば問われるのが、AI は最終的に教員の代わりになり得るのか、ということです。その答えは、明確に「いいえ」です。むしろ、教育者の存在はこれまで以上に重要になると考えています。
学習者の「学びたい」という意欲は、その学習者に目を向け、その声に耳を傾け、そして、その成長を心から気にかける教員や保護者との関わりの中で引き出されます。AI の活用により、教員の貴重な時間は大幅に節約されます。教員が Gemini を活用して週に最大 10 時間を節約できたという海外の研究結果もあります(動画)。この貴重な時間を使って、教員は学習者の意欲を引き出すため不可欠な人とのつながりに注力することができるようになります。
個別最適な学びで情報格差を埋める
テクノロジーがすべての人に公平に役立つようにするためには、平等なアクセスが不可欠です。学校に AI を慎重に導入することで、新たな知識の格差を生み出すのではなく、むしろ格差を積極的に減らすことができると考えています。どのような学習環境においても、学習が早く進む人もいれば、もう少し時間が必要な人もいます。AI は個別最適なチューターの役割で、つまずいている学習者の誤解を理解し、遅れを取り戻す手助けができます。例えば、音声で情報を処理するのが得意な人には文字情報を音声ポッドキャストに変換するなど、マルチモーダルな学習オプションを提供することが可能です。
共に歩むガイドとしての AI の設計
Google が目指すのは、一人ひとりに寄り添う先生のように機能し、教育プロセスを真に向上させる AI を設計することです。私たちは LearnLM や Gemini などの AI モデルの開発を通じて、真の学習体験をサポートします。
単にツールを開発するだけでなく、それが学習者の成長にどのような変化をもたらすのか、その影響を追求し続けること、それこそが、私たちの責任であると考えています。Google は、日本全国の大学生を対象に、学習に AI を活用した際の効果検証を行う共同研究を東京大学と開始します。この研究は、AI による学習支援がどのように効果を発揮し、どのような改善が必要かなどの学術的な示唆を得ることです。
世界は素晴らしい「問い」に満ちています。私たちが本来持っている探究心と AI というツールを組み合わせることで、問題解決と発見の全く新しい扉を開くことができると信じています。