デベロッパー交流会(第2回) ─ Vol.3
前回はGoogle Maps APIとその開発のノウハウについてご紹介しました。今回は参加者から頂いた要望とGoogle Maps APIのビジネスでの展望をお届けします。
参加者のプロフィールについてはVol.1をご覧ください。
なお、デベロッパー交流会(第2回)は4回に分けて掲載します。更新をいち早く知りたい方はデベロッパー交流会グループ にご登録ください。
Google Maps APIあるいはGoogle マップへの要望・質問
石原:
Google Maps APIあるいはGoogle マップ を利用するうえでの要望や質問があれば教えてください。地図好きな皆様なので、たくさんの要望がありそうですが。
古旛さん:
元永さんの過去と現在の航空写真を比較するアプリケーションを見て感じたのですが、ズームイン・ズームアウトのスライダーとは別な汎用スライダーを用意してもらいたいです。元永さんのサイトでは、タイムスケールのコントロールとして活用できますし、その他の利用方法もいろいろありそうです。
安藤さん:
Google Earth ではKML でスライダーを作ることができます。Google マップがGoogle Earth と同じくらいKMLに対応してくれれば問題は解決するのですが・・・。
クリス:
Google マップでのKMLサポートも行っていこうと考えています。
古籏さん:
それはいいですね!KMLでインタフェースが作れるならば、プログラムが得意でない人ももっとGoogle マップを活用できるようなるかもしれません。
元永さん:
私からも1つ要望があります。現在は地図を表記する言語はそれぞれの国に準拠しています。日本なら漢字で、ロシア語圏の国ではキリル文字といった具合です。せめて英語表記だけは別レイヤーで持たせることはできないのでしょうか?
南野:
私の周り、たとえば出張で来日する海外在住のグーグルのエンジニアからも、しばしば同じ要望をもらいます。需要は十分理解していますので、できれば対応したいな、と思っています。
なぜ Maps アプリケーションを作るのか?
安藤さん:
私としては、地図と位置情報に時間の概念が加わればより現実に近づくのではと考えています。現在、土地の価値は地価でしか計ることができません。しかし、Google マップで何年も地図をアーカイブし、それを比較すればもっと新しい指標ができるはずです。ウェブページはリンクの関係や最終更新日などの関連する情報でレーティングすることが可能ですが、同様に、場所に対してもできると思うのです。
石川さん:
ある特定の場所について話題が盛り上がってホットロケーションが形成されるかもしれませんね。
元永さん:
じつはGoogle マップが公開される前に自分でホットロケーションを測定してみたことがあります。
これは日本の住所表記をキーにして、Googleで検索した結果(件数)を地図にマッピングしたものです。もっとも、東京が突出することは明らかですのでここでは検索結果数を人口で割った値で表示しています。
一目瞭然ですが、都市部、特に東京の情報の量と密度は凄いことがわかります。一部おかしな場所でグラフが高い場所がありますが、これは人口が極端に少ない場合に起こる例外と思ってください。
古籏さん:
これはまさに情報地価のグラフですね。安藤さんの言う新たな価値の1つかもしれません。このデータはビジネスになるかもしれませんね。
Maps アプリケーションでビジネス
石原:
ビジネスという言葉が出てきましたので、Mapsアプリケーションでのビジネスの展望についても伺いたいと思います。
小山さん:
Maps アプリケーションはまだ模索の段階だと思います。これから成功事例が出てくる必要があるでしょう。まだ顕著な成功例は知りませんが、ポテンシャルは感じます。
石原:
ある事例で、Mapsアプリケーションを含めた複数の情報を組み合わせると魅力的なコンテンツができ、その結果、魅力的なコンテンツがユーザーを集め、集まったユーザーがMaps アプリケーションページの広告をクリックするというものがあります。このようにユーザーを集める手段としてMapsアプリケーションは有効なのではないでしょうか?
安藤さん:
私は単なる集客の手段ではなく、そこから一歩進んだモデルがあると思っています。街には野外広告が掲示されています。渋谷などの都市部はすごい数です。これは場所が価値を生んでいると考えるべきでしょう。さきほど情報地価という言葉が出ましたが、Mapsアプリケーションは単なる集客の手段ではなく情報地価そのものをビジネスとする方法を求めていくべきです。
「地図とは何か?」からスタートした今回の交流会。地図とAPIへの熱い想いをぶつけあい、最後はビジネスにおいてMapsアプリケーションが進むべき方向性についての提言で幕を閉じました。駆け足でのご紹介となりましたが、Google Maps API、Google マップに興味を持つ皆様の参考となれば幸いです。
さて、交流会の後は懇親会が行われました。地図好き、地図のプロフェッショナルが集まれば、当然話題も地図一色。さらに、懇親会会場への移動前にGoogleオフィス内の巨大地図 の見学が行われ、アルコールが入る前にすでに一同ハイテンション。さらにヒートアップした懇親会の様子を次回お届けします。