日本の介護現場に、人が人と繋がる時間を。Gemini アプリの Gem 機能に「ケア記録アシスト」を公開
日本の介護業界は深刻な人手不足に直面しており、今後数年間でさらに数十万人の介護人材が必要になると予測されています。現在、介護の最前線で働く方々にとって、記録業務は大きな負担となっており、介護記録の作成が労働時間の大きな割合を占めるという現状もあります。この必要不可欠でありながらも時間のかかる業務は、利用者一人ひとりと直接向き合うための貴重な時間を奪っています。
介護従事者が介護者と向き合うことに集中できるよう、Googleは、Gemini アプリの Gem に新しいプリセット機能となる「ケア記録アシスト」を日本国内の Google Workspace ユーザーの皆様に向けて公開しました。
このツールは、日々の記録作成プロセスを効率化するために設計され、短い音声メモやテキスト、手書きメモを撮った写真などを入力するだけで、SOAPやF-DAR形式を含む、プロフェッショナルな介護記録の草案を瞬時に作成します。
あらゆる施設でカスタマイズ可能な、オープンなツール
介護の現場は、一つとして同じものはありません。だからこそ、今回公開する ケア記録アシスト に加えて、その基盤となるカスタム指示(プロンプト)も Google Workspace ユーザーに公開します。また、Gem の画面右上の三点リーダーから「コピーを作成する」を選択すると、このケア記録アシストのカスタム指示の内容が確認・編集することができます。そのページより、それぞれの施設独自のフォーマットや用語のルールを追加するなど、各現場のニーズに合わせてツールを柔軟にカスタマイズしてお使いいただくことも可能です。この機能を既存のプラットフォームに組み込んだり、他の管理業務を効率化する独自の AI エージェントを開発する際のひな形として活用いただけます。
介護分野における Gemini の性能
処理速度が速く、現場での活用に適している Gemini 3.0 Flash は、日本の介護の専門知識において極めて高い理解力を示しています。令和7年度(第28回)東京都介護支援専門員実務研修受講試験において 99.7 %の精度を記録し、第37回(令和6年度)介護福祉士国家試験においては精度 100% を達成しています*。これにより、専門用語の文脈を正確に理解し、自然で適切な記録を作成することが可能です。
*精度は5回評価を行った平均値
実証実験における時間短縮の成果
株式会社シーユーシー(CUC)が行った実証実験では、この ケア記録アシスト の活用により、介護記録の作成において約 20 %の時間短縮につながることが確認されました。この時間をケアの質向上やご入居者さまとの直接的なコミュニケーションに充てる事が可能になると報告を受けています。
また、今回の取り組みに対し、本取り組みを監修した慶應義塾大学の宮田裕章教授から、以下のようにコメントをいただいています。
「生成AIの活用は、要介護者への直接的な支援にとどまらず、介護現場の労働環境を根本から改善し、ケアに関わるすべての人々の『better co-being(より良い共生)』を実現する上で大きな可能性を秘めています。深刻な人材不足が課題となる中、テクノロジーによる業務効率化は喫緊の対応事項です。本取り組みは、記録業務という間接業務の負担を取り除き、介護の本質である『人と人との触れ合い』が求められる直接業務への時間を創出する、極めて重要なアプローチとなります。
現場一人ひとりの実感に即した実用的なAI導入のモデルケースが、利用者のつまづきに寄り添う丁寧な運用プロセスと共に広く共有されていくことで、介護職の労働環境が着実に改善され、日本の社会課題解消に向けた強力なスタートラインとなることを大いに期待しています。」
責任あるAI開発と、安全なデータ保護
機微な健康情報を扱う上で、セキュリティとプライバシーは最優先事項です。この ケア記録アシスト はエンタープライズレベルのセキュリティ基盤上に構築されており、入力されたデータが組織外で共有されたり、Googleの AI モデルのトレーニングに使用されたりすることはありません。また、AI が作成した草案は、公式な記録となる前に介護スタッフ自身が内容を確認・承認する「Human-in-the-loop(人間が介在する)」設計となっています。
人が人と繋がる時間を守るために
管理業務のプロセスを合理化することで、私たちが目指しているのは、介護スタッフの皆様の「時間」を守ることです。
それは、テクノロジーには決して代わることのできない、人による温かいケアや、利用者の方々と向き合い、心を通わせるための時間です。「ケア記録アシスト」が、日本の介護現場における強力なサポートとなり、皆様の負担軽減とより良いケアの実現に貢献できることを心から願っています。