Project VOICE : 誰もが社会とつながり、自分らしく表現するために。
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コミュニケーションは、私たちが社会とつながり、感情を共有し、自分自身を表現するために不可欠な手段です。多くの人にとって、コミュニケーションは日常の一部であり、当たり前のことかもしれません。しかし、ALS(筋萎縮性側索硬化症)やSMA(脊髄性筋萎縮症)といった病気のために、この当たり前のコミュニケーションが困難な人たちがいます。伝えたい言葉を表現するのに大変な時間と労力を必要とし、そのための特別な機器には高額な費用がかかることもあります。しかし、もっと自由に、自分らしく表現したいという思いは、障がいの有無に関わらず、すべての人が当然に願うものです。
Project VOICE (Valuing Our Individual Communication Expression) は、 AI を活用してこうした方々のコミュニケーションの支援することで、誰もが社会とつながり、より自分らしく表現する手助けとなることを目指す Google の研究開発プロジェクトです。Google の最先端の AI モデルである Gemini を基盤として、ユーザーが伝えたい言葉を予測し、より少ないステップで表現できるように支援する技術を開発しています。
私たち Google は、テクノロジーにはこの世界をより良くしていく力があると信じています。日本の方々が抱える困難や社会の問題を、AI を活用して解決することを目指し、産業や医療など多方面での取り組みを行っています。Project VOICE はそのアクセシビリティ分野における一例です。
音声ガイド版はこちらからご覧いただけます。
Project VOICE の仕組み
Project VOICE は、Geminiの予測変換機能により、ユーザーが伝えたい言葉を先回りして提案します。具体的には、モデルが文脈に基づいて次に続く可能性の高い単語やフレーズを予測し、それを候補として表示します。 ユーザーは、これらの候補から選択するだけで、メッセージを作成できます。例えば「コーヒーはブラックが好きです。」と伝えたいとき、文章全体を 1 文字ずつ入力する代わりに、「コー」など文章の途中まで入力した時点で表示された候補から選んでいくことで、よりスムーズに、より少ない操作で伝えることができます。

この技術は、従来の入力方法よりも圧倒的に少ない操作で、よりパーソナルなコミュニケーションを支援します。また、ユーザーの好みや趣味などのプロフィールを入力することで、AI がその人に合った表現を提案するため、より自然なコミュニケーションが容易になります。
Project VOICEは、一般的なマウスやトラックパッドだけでなく、視線入力やスイッチコントロールなど、様々な方法で操作できます。 これにより、様々なニーズや障がいを持つ人々が、自分に合った方法でコミュニケーションをとることができます。
世界がひろがる喜びを、すべての人へ。
Project VOICEは、初期段階の研究開発プロジェクトです。現在は、発話が難しい方のためのコミュニケーションアプリ「指伝話」を開発する有限会社オフィス結アジアの協力のもと、実際にコミュニケーションに困難を抱えるユーザーの方々にテストしていただき、フィードバックに基づいて、さらなる改善を図っています。それによって、すべての人が周囲とつながり、世界がひろがる喜びを感じられる手助けとなることを願っています。
パートナー募集
このプロジェクトに賛同し、技術開発とユーザー体験の改良のためのユーザーテストにご協力いただける医療機関や企業、NPO などを募集しています。ご関心のある団体の方はこちらの研究開発パートナー募集フォームからご連絡ください。多くの専門家や実際のユーザーの方々からのフィードバックをいただくことで、より使いやすく役立つシステムにしていきたいと考えています。