Google Pixel Fold、Google Pixel Tablet、Google Pixel 7a のデザイン
先週米国で開催した開発者向け会議 Google I/O で最新の Google Pixel 製品、Google Pixel Fold、Google Pixel Tablet、Google Pixel 7a を発表しました。Google の最新のラインナップは、ユーザーが Google Pixel に期待するものをベースにしながら、ハードウェアの外観や感触を再構築しています。Google のハードウェア設計責任者のアイビー ロスは次のように語っています。「これらのリリースにおける私たちの指針となるコンセプトのひとつは、ユーザーがより少ない労力でより多くのことができるようにすることでした。テクノロジーは使い捨てであってはなりません。私たちはこれらのデバイスを多機能にしたいと考えました。」
Google のチームは長年にわたり、これらの最新製品の外観、中身、感触の微調整に取り組んできました。チームには、アイビーのほかに、モバイル デバイスの工業デザインを率いるクロード ゼルウィガー、さまざまな Google デバイスの工業デザインとポートフォリオ全体の色、素材、仕上げ(Color, Material, Finishing, CMF)を統括するイザベル オルソンがいます。
「私たちが行っていることの多くは新しい発明であり、それには UX、研究、製品デザイン、エンジニアリングにわたる多大なコラボレーションが必要です。」(イザベル)そうした緻密なコラボレーションがどのように最新の Google Pixel 製品につながったかをご紹介します。
外観
Google 本社があるマウンテンビューの CMF スタジオを歩くと、ドライフラワー、ポンポン、ペーパークリップ、マカロン、石鹸、ガラス片が色合いごとにグループ化され、虹のような物理的なムードボードを作り出している様子を見ることができます。イザベルによると、デザイナーたちは旅行のたび、時として昼休みの散歩からも、こうした小物を持ち帰ってくるそうです。これらのアイテムの多くは、新製品の色合いを開発するプロセスに影響を与えます。「このラインナップでは、ダーク ニュートラル、ライト ニュートラル、クールポップ、ウォーム ポップのカラー バリエーションを揃えたかった」とイザベルは語っています。最新のハードウェア製品ポートフォリオでこれらの項目を満たすために、チームは Coral、Rose、Sea、Snow、Charcoal、Hazel、Obsidian、Porcelain の色合いにたどり着き、各製品はこれらの色の組み合わせで提供されることになりました
Google Pixel Buds A-Series と Google Pixel 7a には、新色 Sea が加わりました。
たとえば、Google Pixel Fold は、Obsidian と Porcelain のカラーバリエーションで提供します。Obsidian の洗練された深みと Porcelain の空気のような軽やかさが、Google Pixel Fold の雰囲気にマッチすると考え、この色を選びました。Porcelain の色味を作り出すのは、特にやりがいのあるプロセスでした。「Porcelain の作業に取り掛かった頃、世界は先行きの分からない不安感に包まれており、私たちは暖かく快適な新しいタイプのニュートラル感を加えたいと考えました。」とイザベルは語っています。Porcelain の開発はパンデミック中に始まり、チームはセラミック、サンド、カシミアなどの色を検討して、ぴったりの色を見つけ出しました。
「Porcelain カラーの Google Pixel Fold を見た瞬間にしっくりときました」とクロード。アイビーは、「目にしてすぐに『ああ、これだ!』と。全員の顔をみまわして、みんなが微笑んだ顔をみて確信しました」と振り返っています。
Coral カラーの Google Pixel 7a
Google Pixel 7a の明るいニュートラルと暗いニュートラルは Snow と Charcoal、Coral と Sea はより明るいポップです。「Coral は楽しく、エネルギーに満ち、自信にあふれています。明るく、温かみのある、注目を集める色です。Sea にはある種の活気があります。まるで氷のように、遊び心がありながらもエレガントです。」(イザベル)
材料
デザイナーが適切に仕上げるために努力しているのは、色だけではありません。デバイスの素材と製造方法も、非常に重要です。今回の製品ポートフォリオでは、デザイナーは「プレミアム」素材、つまり人々がすぐに高品質であると認識できる素材に焦点を当てました。
Google Pixel Fold では、最も重要なこととして、チームは「スマートフォンらしく感じられる薄型デバイス」を可能にする材料を選びました。「最初は親しみを感じさせ、開いたときに新しい可能性に満ちたものにしたかったのです」とクロードは説明しています。
これらすべてをつなげる部分は、Google Pixel Fold のステンレス製ヒンジです。「ヒンジに採用した印象的なポリッシュ仕上げは、デザインを次のレベルに引き上げました。高級感があり、耐久性も向上します」とクロード。ヒンジは頻繁に可動するパーツのため、ステンレスを採用することで、輝きを保ちながら傷などの磨耗を防ぐことができるとチームは考えました。チームは、Google Pixel Fold を高級感と品質のある光沢で包みたいと考えていました。「時計や結婚指輪など、身につけるものの仕上がりは気になるものです。スマートフォンは常に持ち歩くものなので、同じように高品質の外観と感触を持たせたいと思いました」とイザベルは説明しています。
Google Pixel Fold の核となるステンレス製のヒンジ
もうひとつの注目すべき材料設計の選択は、Google Pixel 7a のジルコニア ブラスト処理アルミニウム ハウジングです。Google Pixel 7 と同じジルコニア ブラスト処理は、基本的には非常にデリケートな金属研磨です。これにより「シルクのような滑らかな表面が得られる」とイザベルは説明しています。また、持続可能性の観点から、このブラスト処理に使用しているアルミニウムは 100% リサイクル素材を採用しているほか、Google Pixel 7a の背面フレームに使用されている樹脂は 67% リサイクル素材です。
新しい Google Pixel Tablet の素材に関して、チームは人々が使いたくなる、家にフィットする製品をデザインすることに重点を置きました。デザイン工程には、ユーザー調査も含まれました。「デザイナーとして、私たちがしなければならないことのひとつに、人々の意見に耳を傾けるだけでなく、人々の行動を観察することが挙げられます」とイザベル。リサーチ段階では、人々がタブレットを外に出したままにせず、引き出しにしまったりしている様子が観察されました。そこで、チームは天然素材や家の中にあるアイテムからヒントを得て、イザベルが「もっと魅力的」と呼ぶタブレットのデザインに着手しました。デザイナーたちは、陶器を再度検討し、タブレットのナノセラミック コーティングを開発しました。イザベルは、研究過程で陶器の皿に置かれた小さな金のイヤリングを見て、「これだ」と思った瞬間を振り返っています。そのインスピレーションは、新しいコーティングを生み出しました。彼女は、その仕上げを「非常に柔らかく、マットでもある」と表現しています。
感触
パタッと閉じたりカチッと留めたりするときの感触の良さを作り出すのも、ハードウェア設計の重要な仕事です。これは、Google Pixel Tablet のホルダーのデザイン要素になっています。チームの調査により、ユーザーがタブレットを頻繁に利用しない理由のひとつとして、デバイスが充電されていないことが原因だということがわかりました。そこでチームは、より楽しい充電体験を実現して、家の中で移動するときに手に取って使いたくなるデバイスを作ることを目指しました。「適切な『ドッキング感』を得るために、タブレットと充電スピーカー ホルダーのマグネットのレイアウトに関して、数え切れないほどのテストを行いました」とイザベル。「ホルダーにデバイスが引き寄せられたときにまるで包み込まれるような感覚を生み出す、ゴム繊維も開発しました。これにより、タブレットをホルダーにセットする際に、非常に満足感のある『トンッ』という音と感触を実現しました。まるでゆっくりと着地するような動きですが、非常に精密な感覚もあります。」
一方、アイビーはタブレットをホルダーから外す感覚が気に入り、同僚たちがそれを楽しんでいた様子を振り返っています。「タブレットを手に取って歩きだす動作は、魔法のようです。しっかりと固定されている感覚がありながらも、まるでタブレットが空中に浮いていて、すぐに手に取れる感じがあります。」
左:Google Pixel Tablet ナノセラミック コーティングを採用しました / 中央:新しいタブレットは、ドックからすばやく取り外して移動できます / 右:Google Pixel Tablet は、日本では Porcelain、Hazel のカラー バリエーションで提供します
Industrial Design チームも、手にしたときの感触を重要と考えました。「コンパクトでありながら堅牢なヒンジは、デバイスがカチッと閉まるときに満足のいく、ほとんど真空のような感覚を提供するように設計されています。そこには驚きの要素があり、小気味よい感覚です」とクロード。
物理的なものであろうとそれ以外のものであろうと、その「感触」という概念は、アイビー、クロード、イザベル全員が何度も立ち戻る要素であり、最新のデバイスに取り組む期間、彼らはそれに何年も注目してきました。アイビーは次のように説明します。「私たちの仕事について話すとき、私たちは『デザイン感覚』と『デザイン思考』という言葉を使います。目にしたとき、手にしたときに、どう感じるかが重要だからです。」
新しい Google Pixel 製品を手にしたユーザーが、心地よさを感じ、さらには、幸せな気持ちになってくれることを願っています。