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Japan Blog

東日本大震災の被災地をストリートビューで記録します



※2011 年 7 月 12 日に記者会見の模様のビデオを追記しました。

Google は本日、Google マップのストリートビューの技術を活用し、甚大な被害をもたらした東日本大震災の被害状況を記録・保存するために、「デジタルアーカイブプロジェクト」として、ストリートビューの撮影を開始します。

本プロジェクトは、ストリートビューの技術を活用して今回の地震・津波の被害を記録、公開し、保存することを目的としています。ストリートビューとして撮影・公開することにより、世界中の科学者や研究者だけでなく、一般の方がこうした情報にアクセスできるようになり、地震や津波が引き起こす被害を知っていただくきっかけになるものと考えています。さらに、本プロジェクトを通じ、後世に震災の記録をきちんと継承し、震災の記憶の風化を防ぐことにつながることを期待しています。

Google マップのストリートビュー車を示す画像。

Google では、東日本大震災の被災状況を記録・保存するためにストリートビューの技術を活用できないか、ストリートビューチームを中心にかなり早い段階から議論してきました。しかし、被災地の物理的な状況や被害にあった方々の心情を踏まえると、プロジェクトの実現に踏み出すべきか否か、また、時期の選択が困難でした。そんな中、現地の地方自治体の関係者をはじめ、ボランティア、医療関係者、研究者の方から、「ストリートビューで、きちんと震災を記録・保存をしてほしい」という声をいただいたことが、今回のプロジェクトを前にすすめる大きな力となりました。

今回のプロジェクトの撮影対象地域は東北地方から北関東の主要都市および海岸の地域で、撮影期間は本日より3~6ヶ月を予定しています。また、撮影対象地域において、すでにストリートビューのサービスが提供されている場合には、今回、撮影された画像に置き換わります。震災以前に撮影された画像については、継続して公開・アクセスできるようにしますが、具体的な方法については、今回撮影する画像の公開時に改めてご案内します。

本プロジェクトについて、気仙沼市長 菅原茂様、東北大学大学院 工学研究科附属 災害制御研究センター 教授 今村文彦 先生、そして、日本社会情報学会(JSIS)会長 伊藤守 先生から下記のようなコメントをいただきました。

気仙沼市長 菅原 茂 様

「ちょうど気仙沼市としても『記録を残すことは将来への責務である』と考えていた中でグーグルからストリートビューの話を貰った。その際に、彼らが何度も『被災地への迷惑にならない様に撮影する』という話をしてくれ、受け入れようと決めた。今回、この試みが気仙沼市から始まる事に光栄に思う。震災で手を差し伸べて貰った世界中の方々に、『自分が支援した市はこうなのだ』と知ってもらい、5年後、10年後にストリートビューでもう一度撮影して貰い、『このように復興できてきているのだ』と感じて貰いたい。」

東北大学大学院 工学研究科附属 災害制御研究センター 教授 今村文彦 先生

「わが国は、過去、幾度となく自然災害を経験し、その度ごとに、その教訓を活かし、防災対策を強化してきた。しかし、特に歴史上数少ない低頻度大災害については、時間の経過とともにその教訓は忘却され、風化していく。被災状況の把握、また、復旧・復興の過程を記録に残していくことは最も重要であり、この実践を考えた場合、地域の状況を迅速かつ広範囲に記録できるストリートビューという新技術への期待は大きい。」

日本社会情報学会(JSIS)会長 伊藤守 先生

「東日本大震災では多くの尊い命が失われました。そして、同時に、住み慣れた家、通いなれた道や街といった「生きられる空間」と一体の「思い出」も奪い去りました。Google の取組みは、将来、防災への活用や、甚大な被害を後世に伝えるという意義をもつでしょう。それ以上に、震災前の街や風景のアーカイブ化とともに、震災後の「今」を残す街や風景の映像の記録と保存は、被災者の「記憶」や「思い出」をつなぎとめる役割が期待されます。」

本プロジェクトにお寄せいただいた思いに、出来る限りお応えできるように、本日より鋭意撮影を開始いたします。皆さまのご理解、ご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

<2011 年 7 月 12 日追記>気仙沼で行われた記者会見の模様をビデオにまとめました。

東日本大震災の被災地をストリートビューが走るプロジェクトを紹介する動画。
10:25