Google マップが 10 歳になりました。
Google マップ日本版は、ちょうど 10 年前の 7 月 14 日にデスクトップ版を、20 日にモバイル向けのローカル検索の提供を開始しました。
2005 年当初は、カーナビ用の地図画像をそのまま表示することから始まった Googleマップも、この 10 年で大きく進化しました。色も線も、フォントも今、お使いいただいている Google マップとは大きく違いますね。すべての道路に名前がない場所で、細い入り組んだ道の先にある目的地まで、何を目印に道案内すればいいのか。日本の住所体系をどうコンピューターに理解させるか。日本の地図を表示するには、どんなフォントや配色を用いればいいか。Google マップチームの地図を作る旅は、日本のユーザーのみなさんと、共に地図を作る旅でした。
(左: 2005 年 / 右: 2006 年)
( 2015 年)
たとえば、日本は当時から世界有数のモバイル先進国でした。そのため日本向けのマップは、当初からモバイル向けのサービス開発に注力してきました。乗換案内は、デスクトップ版提供に先駆けて、2006 年にモバイル版をリリースしています。今では当たり前となった現在地を示す「青い点」が、i アプリ版 の Google マップ に登場したのも、2007 年 12 月です。駅や空港、デパート等の構内図を表示する「インドアマップ」も、 2011 年にモバイル版から始めました。インドアマップは、ビル内にいくつもお店があったり、地下街が発達した日本で、この空間をどのように道案内するか、という挑戦から始まったアイディアです。このように、早い段階からモバイル向けに開発してきた様々なアイディアや技術が、今、世界中でお使いいただいているモバイル Google マップに活かされています。
地図を様々な視点で提供することも、Google が力を入れてきたことの 1 つです。2005 年にはじめて衛星写真を Google マップ上で公開して以来、画像の更新と改善を続け、真上や斜め 45 度から見た衛星・航空写真を提供してきました。 2012 年には、自動的に街を 3D に描画する新しい 3D モデリング技術も導入し、地球をそのまま写し取ったようなリアルな地図を目指して開発を続けています。
ストリートビューは、街を上からではなく、その場にいるのと同じ”視点” で見られるサービスとして、日本では 2008 年に東京や札幌等 12 都市で提供を開始しました。
( 2008 年)
当初、カメラを自動車に取り付けて始まったストリートビューも、撮影対象地域が寺社仏閣や観光地、世界遺産等に広がるにつれ進化し、最近では、2013 年に導入されたトレッカーで、富士山を始めとする山々なども撮影できるようになりました。
また、観光協会などにトレッカーを貸出す「トレッカーパートナープログラム」も、観光庁を始めとする様々な団体にご活用いただき、日本各地の豊かな風景が公開されています。今回、Google マップ 10 年を記念して、今年 5 月に約 1 週間掛けて、トレッカーで撮影した 槍ヶ岳のストリートビュー を公開します。
Google マップにとって、1 つの大きな転機となったのは、東日本大震災でした。当初、ストリートビューは、最新の画像しか表示できませんでしたが、この震災を境に「タイムマシン機能」を新たに開発、過去の画像にアクセスできるようになりました。これは、東日本大震災の被害を「東日本大震災デジタルアーカイブ」として記録するにあたり、「震災前に撮影されたストリートビューの画像を残して欲しい」というご意見を多数の方からいただいたことが、開発のきっかけになったものです。日本のユーザーの声が、地図を 4 次元に進化させることにつながりました。
また、震災以来、地図の果たせる役目の一つとして、航空写真の更新も続けています。先週も、福島県浜通り地方、宮城県北部(気仙沼、女川など)及び岩手県の沿岸部の航空写真を更新しました。これからも、変化を続ける日本の姿を、空から、あるいは道路から、記録、公開する取組みを続けていきます。
この 10 年で、世界 10 億人の方にお使いいただくサービスに成長した Google マップは、日本との関わりの中で、多くを学び、改善を重ねてきました。これほど町が複雑で、道路が入り組み、正確に電車が走り、心から地図を愛するこの国に向けて、地図を作り、みなさんに鍛えていただいたことが、日本だけでなく、世界中の Google マップを大きく進化させる原動力となりました。
この旅路において、日本のユーザーの皆さんからいただいたご要望や励ましの声は、私たちにとって何ものにも代えがたい宝物です。
ありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。