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Japan Blog

Google マップ:AIが交通量を予測し、ルートを決定する方法

自動車が渋滞している街の様子を示すイメージ画像。

世界 220 以上の国と地域のユーザーが Google マップを使って移動する距離は、1 日あたり 10 億キロ以上になります。自動車やバイクに乗ってナビを開始すると、方向、交通状況、移動時間、到着予定時刻 (ETA) などといった様々な情報が表示されます。一見単純に見えますが、そうした情報をわずか数秒で表示するために、舞台裏では多くのことが行われています。 

本記事では、交通状況とルートの表示について解説します。Google マップがどのように渋滞や最適なルートを表示しているかについて、少し掘り下げてみましょう。 

世界中のドライバーから提供される交通状況 

ユーザーが Google マップのナビゲーションを使うと、集合化された位置情報データが活用され 、世界中の道路の交通状況が把握できるようになります。この情報は、現在の交通量の予測に役立ちますが、これだけではルート上で発生している渋滞が、たとえば 10 分後、20 分後、50 分後の交通量にどう影響するかまではわかりません。そこで、テクノロジーの力が必要になります。 

高度な機械学習手法と過去のデータを用いた渋滞予測 

近い未来の渋滞を予測するために、Google マップは、過去の交通状況を分析しています。たとえば、カリフォルニア州北部の州間高速道路 280 号を走行する自動車の速度が、午前 6 時から 7 時は時速 100 km、午後遅くには時速 25 km から 30 km 程度を示しているとします。Google は、そうした過去の交通パターンのデータベースとルートの現在の交通状況を組み合わせ、機械学習を使って双方のデータセットに基づいた予測を行っています。 

Google マップの到着予定時刻はすでに非常に高い精度を誇っており、これまでも予測の実に 97% 以上が正確に算出されていましたが、Google マップ は Alphabet AI 研究所である DeepMind と協力し最新の技術を用いることによって、渋滞予測の精度が更に向上しました。DeepMind と協同で Graph Neural Networks (GNN) と呼ばれる機械学習アーキテクチャを使用することで、不正確な到着予定時刻の表示される割合をさらに減少させ、ベルリン、ジャカルタ、サンパウロ、シドニー、東京、ワシントンなどで大幅な改善を達成しています。この手法により、Google マップは、「これから発生するかもしれない渋滞」による影響をより正確に予測できるようになりました。 

データを新鮮に保つ 

Google マップが交通状況データの提供をはじめてから 13 年間、ルートの交通状況を示す指標として過去の交通パターンは信頼できるものでしたが、それは絶対とは限りません。新型コロナウイルス感染症の拡大により、あらゆる場所で交通パターンが劇的に変化しています。2020 年前半にロックダウン (都市封鎖) が始まったことにより、世界中で交通量が最大 50% 減少しました。一部の国や地域では移動が解禁されていますが、規制が継続されているエリアも残されています。こうした急激な変化に機敏に対応するため、過去 2 週間から 4 週間の交通パターンを自動的に優先し、それ以前のパターンの優先順位を下げるよう、計算モデルをアップデートしました。 

Google マップがどのようにルートを選択しているか 

Google の渋滞予測モデルは、Google マップの運転ルート選択の鍵でもあります。ルートの交通量が増えることが予測された場合、Google マップは自動的に代替ルートを検索します。ただし、ルート検索は、道路の種類などの要素も考慮に入れています。たとえば、舗装路と未舗装路 (砂利道や泥道など) では、運転のしやすさが大きく異なります。そのため、Google マップは、なるべくそうした困難なルートを推奨しないようにしています。また、停止発進の多い生活道路よりも、幹線道路の方が効率的な場合が多いため、道路の大きさや直進性なども確認しています。 

残る 2 つは、地方自治体から提供される正確なデータ、そしてユーザーから提供されるリアルタイムの情報です。これらは、最適なルートを推奨するために重要な役割を果たしています。これらのデータにより、制限速度、料金所、道路工事や新型コロナウイルス感染拡大防止措置による通行止めなどを把握できます。また、運転者が道路情報を報告できる 「レポートの追加」機能を活用して、道路や車線の閉鎖、道路工事、事故車両、落下物などをすばやく表示しています。これらの情報は、土砂崩れ、吹雪、その他の自然災害などによる道路状況の予期せぬ変化の把握にも役立てられています。 

すべてを組み合わせる 

では、こうした情報を実際にどのように使うことができるのでしょうか。たとえば、病院の予約時間に合わせていつものルートを運転するとします。渋滞予測と実際の交通状況を組み合わせる Google マップを使えば、家を出た直後は道路の流れがよく、渋滞が発生していなくても、約 30 分後にルート上で予期せぬ渋滞に巻き込まれてしまい、予約時間に間に合わなくなる可能性を事前に知ることができます。そうした場合、Google マップは、周辺の道路状況や事故情報に基づいて、自動的に代替ルートを提案します。これにより、渋滞を回避して、予約時間に間に合うように目的地に到着できます。 渋滞予測とルート選択は、非常に複雑です。Google マップは、渋滞を回避しながら、できる限り安全で効率的なルートを検出するツールやテクノロジーの開発に引き続き注力していきます。