AI 時代のマーケティングにおいて知っておきたい Google 検索の 5 つのポイント
US 版 Think with Google が 2026 年 2 月に公開した記事を基に日本語に翻訳し、編集しました。
Google VP of Search の Liz Reid が、2026 年 2 月に行われたIAB Annual Leadership Meeting 2026(IAB ALM 2026)に登壇し、AI 時代における検索の未来と Google のビジョンについて語りました。
Google の 検索部門のトップである Liz Reid は、Google での 20 年間で複数の技術的転換点を経験してきました。しかし、AI による変革は検索の歴史の中で最大かつ最も刺激的なものだと話します。ヒース氏との対談では IAB ALM 2026 に集まった聴衆を前に、 AI を駆使したイノベーションがいかにユーザーを引きつけているか、そして情報を得るための新たな方法を切り拓いたことで、Google 検索の勢いがいかに加速しているかを説明しました。
これらのイノベーションは、検索エコシステムを取り巻くすべての広告主、パブリッシャー、広告代理店にとっても新たな機会を生み出します。彼女の講演から、この瞬間を最大限に活用するためにすべてのマーケターが知っておきたい 5 つのポイントを、Think with Google 編集部の視点で紹介します。
1:AI によって検索はより知的に進化し、Web とのつながりを深める
Liz の視点:「AI モードの開発を始めたときに気づいたのは、従来の検索ページと会話型 AI の間に存在するギャップでした。人々は、これまでの文脈を繰り返さずとも対話を続けられる『会話感』を求めていました。その一方で、検索の持つ信頼性とスピード感、そして何より Web とつながることを強く求めていたのです。私たちは、人々がこれまでと変わらず Web 上の情報につながりたいという強いニーズがあることを改めて実感しています。」
マーケティング担当者への示唆: 検索が「マルチターンの対話(複数回のやり取り)」へと進化するにつれ、検索語句は複雑化し、購買意欲を示す、検索ボリュームの少ない具体的なキーワードを使った検索行動が拡大しています。現在、AI モードにおける検索の大多数は、さらに深堀りするための追加の質問へとつながっており 1 、検索はかつてないほど強力に、生活者を新しい発見や意思決定へと導いています。
これは広告主にとって、生活者の問いに対する “ 最良の回答 ” として存在感を示す絶好の機会です。今後も AI による概要や AI モードに表示される広告(一部の英語圏のみ)が広がる中、新しいタイプの質問を投げかける生活者とつながるチャンスが増えています。この新たな機会を活かすには、検索キャンペーン向け AI 最大化設定や P-MAX キャンペーンなどの AI ソリューションを導入し、人々の好奇心のスピードと規模に合わせて、ニーズに寄り添った体験を届けることが重要です。
2:より視覚的に進化した検索と Web
Liz の視点:「直近の生活者行動の大きな変化として、(ユーザー自身が求めている)コンテンツの種類が変わってきていることが挙げられます。単にテキストの Web ページを読むだけではありません。ポッドキャストを聴き、動画を視聴しています。さらには画像をたくさん使った視覚的に分かりやすいページも好まれます。現代の人々は、画像や動画を通じて情報を得ることにすっかり慣れ親しんでいるのです」
マーケティング担当者への示唆: 生活者との接点は、テキストのみの検索から「マルチモーダル(画像や動画など複数の形式)」な発見へとシフトしています。情報探索行動はもはや直線的なジャーニーではなく、画像、動画、テキストなどを統合したプロセスとなっています。
生成 AI の進化により、Google レンズや「かこって検索」などの体験で不可欠となる高品質なビジュアル素材の制作が容易になりました。特に AI モード上での買い物では、ユーザーは単に商品を閲覧して比較するだけでなく、画像を使って検索を絞り込んだり、バーチャルで試着したりしています。まずは既存の YouTube コンテンツや商品写真、動画アセットを活用することから始めましょう。これらを基にアセット スタジオの AI ツール(英語)を活用すれば、Nano Banana Pro(英語)をはじめとする最新モデルを使ったクリエイティブを生成し、幅広く展開することが可能です。
3:SEO、AIO、GEO......呼び方は何であれ、人のために構築することが 最善のコンテンツ戦略
Liz の視点:「私たちの検索におけるアドバイスは、一貫しています。それは『人のために優れたコンテンツを作る』ということです。あなたの専門性や独自の視点は何か。数ある他のサイトではなく、あなたのサイトを訪れるべき理由は何か。優れたコンテンツを生み出すという本質は変わりません。しかし、AI によってその考え方が進化している部分もあります。
たとえば AI を活用した検索では『クエリ・ファンアウト』と呼ばれる手法を用います。ユーザーが短い単語ではなく、複数の側面を含んだ長い質問を入力したとしましょう。AI はそのクエリを受け取った際、全ての語句に対応する単一の Web サイトを探すわけではありません。クエリを分解し、裏側で複数の検索を実行して、さまざまなコンテンツを見つけ出します。そこで評価されるのは、全ての問いを浅く網羅しようとするコンテンツではなく、特定の面において卓越した価値を提供するコンテンツです。なぜなら、ユーザーは実際に個々の要素を深く掘り下げたいと考えているからです。たった一文の情報を得るために Web サイトに行くのではありません。そのテーマに没入し、深く学ぶために訪れるのです。」
マーケティング担当者への示唆: Google が長年推奨してきた「ユーザー中心のコンテンツ制作」は、AI を活用した新しい体験においても基本となります。検索経由の訪問者や既存の読者が「役立つ」と感じる、独自性の高いコンテンツ制作に注力してください。
生活者がより長く具体的な質問を投げかけ、さらに深く掘り下げるために追加で質問をしている AI 時代の検索体験において、これは成功への王道です。また、写真を撮ったり画像をアップロードしたりして質問し、詳細な回答とリンクを得るマルチモーダル検索への対応として、テキストだけでなく高品質な画像や動画をページ内に用意し、Google Merchant Center や Google ビジネス プロフィールの情報を常に最新の状態に保つことが不可欠です。検索において唯一予測できることは、人々のニーズが常に変化し続けているからこそ、検索もまた常に進化し続けるということです。Google が提供する AI を活用した検索体験は、検索におけるさらなる進化を象徴するものであり、変化し続ける生活者のニーズに限りなく近い形で応え続けるためのものです。そしてこの進化は、サイト所有者や広告主の皆さまにとっても、新たな機会を意味しています。
4:広告は AI 時代の検索においてさらに重要な役割を果たす
Liz の視点:「私たちは、ユーザーにとって真に価値がある形で広告を導入する方法を長年追求してきました。人々はさまざまなニーズを持って検索しています。素敵な靴を買いたい、食洗機を買いたい、外食に行きたいなど、それぞれ意図をもって情報を探しています。ですから、広告が生活者に価値を提供し、新しいブランドを発見できるようにする機会はたくさんあります。
ユーザーがより長い質問をするようになれば、広告をより適切な人に届けられるようになります。また、ユーザーがより詳細なクエリを指定することで、より精度高く関連性の高い広告を表示できるため、広告主にとってもメリットとなります。もしあなたがニッチな分野の広告主で、生活者が共感する特定の価値を持つブランドであれば、以前は想像できなかったような形で生活者にリーチするチャンスが期待できるのです。」
マーケティング担当者への示唆: 検索が単なる情報提供の場にとどまらず、知性を深める場へと進化するにつれて、生成 AI による回答であれ、Web サイトや広告による回答であれ、ユーザーが求める情報を見つけ出す精度が高まります。優れた広告とは、ユーザーの問いに対する「答えそのもの」だからです。
検索を進化させている Google AI、Gemini の優位性は、広告のパフォーマンス向上にも寄与しています。Gemini は複雑な検索語句からユーザーの意図をより深く把握し、一人ひとりのニーズに合わせたパーソナルな広告を表示します。たとえば、2025 年に導入した AI 最大化設定は、広告主がこれまでリーチできていなかった何十億もの新しい検索機会をすでに創出しています。Gemini モデルの導入により、大規模なスケールで関連性と意図を理解し、より精度の高い、価値のある広告体験を届けることが可能になっています。
5:パーソナライズにより、検索はより個別に、より強力に
Liz の視点:「私たちはパーソナライゼーションと、パブリッシャーとユーザーの関係構築の支援にも注力しています。たとえば、2025 年に米国で提供を開始した Preferred Sources 機能では、ユーザーが好みのサイトを登録できます(現在は英語のみ)。また、ユーザーが購読しているサービスのサイトに、検索からスムーズにつながる方法を模索し、検証も行っています。皆さまと生活者との間にすでに築かれた信頼関係があるとき、私たちは、ユーザーが皆さまのコンテンツに簡単に直接つながれるようにしたいと考えています。」
マーケティング担当者への示唆: これらのパーソナライズされた体験により、検索はユーザーにとって自分専用の発見エンジンとなり、パブリッシャーやブランドにとっては強力な顧客維持や関係強化のプラットフォームとなります。
Preferred Sources では、ユーザーが選択したお気に入りのサイトのコンテンツがトップニュースなどで優先的に表示されます。現時点ですでに個人ブログから世界的なニュースメディアに至るまで、約 9 万件ものユニークな情報ソースがユーザーによって選択されています。サイト側はユーザーとのつながりを強化でき、お気に入りのサイトとして選択されると、そのサイトへのクリック数は平均で 2 倍に増加しています。また、AI を活用した検索体験において、ユーザーが購読するサービスからのリンクを優先的に表示する新しい手法も導入予定です(日本は未定)。それにより、ユーザーは購読しているサービスからさらなる価値を得られるようになり、ブランドはロイヤリティの高い購読者との関係をより深めることが可能になります。