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Google マップ、混雑する時間帯や現在の混雑状況の舞台裏

小売店の店先に距離を取って並ぶ人々の様子を示す画像。

忙しい昼時にレストランが満席だったり、ちょっとした買い物の会計に長い時間がかかったりすると、予定が狂ったり、不要なストレスを感じたりすることがあります。
 Google マップの混雑する時間帯、待ち時間や現在の混雑状況は、特定の曜日や時間に店舗がどれだけ混雑するかを表示する便利な機能です。特定の場所の混雑度を事前に知ることができるため、ソーシャルディスタンスを保つことが求められる昨今では、特に有用です。本記事では、データを非公開かつ安全に保ちながら混雑度を算出する方法について、詳しく解説します。


混雑する時間帯:長期的に混雑度の情報を把握 
 混雑度のインサイトは、Google アカウントでロケーション履歴を有効にしているユーザーから集計した匿名データをもとに割り出します。このデータは、特定の場所が 1 週間の中で特に混み合う時間帯を算出するためには欠かせません。最も混雑する時間帯を基準として、その時間帯に比例するようにその他の曜日の混雑度が表示されます。

たとえば、近所に美味しい自家製アイスクリーム店があるとします。ロケーション履歴のインサイトにより、Google のシステムは、土曜日の午後 4 時が最も混雑していることを把握します。その他の曜日の混雑する時間帯に関する情報については、土曜日の午後 4 時とほぼ同じくらい混雑している場合は「通常は混んでいます」、空いている場合は「通常はそれほど混んでいません」、それらの中間であれば「通常はやや混んでいます」と表示されます。このデータは、アイスクリーム店の滞在時間の目安を表示することもできます。これは、1 日に複数の場所に行く計画をしていて、それぞれの場所でどの程度時間が必要かを知りたい場合に便利です。

Google マップの混雑する時間帯表示機能の画面の画像。

混雑する時間帯は、場所の混雑傾向を表示します 

新型コロナウイルス感染症の影響
 Google マップの混雑する時間帯のアルゴリズムは、長年に渡って場所の混雑度の特定に役立ってきましたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止におけるソーシャルディスタンスなどの影響により営業時間の短縮や営業自粛が広がるなか、現在の混雑度を予測する上で、過去のデータの信頼性が低下しました。そこで、システムをより機敏にするため、過去 4 〜 6 週間の最新データを優先させ、混雑する時間や現在の混雑状況の変化にすばやく対応しています。今後、待ち時間などのその他の機能にも、同様のアプローチを導入する予定です。

リアルタイムの混雑情報 
 混雑する時間帯による混雑度の表示は便利ですが、はずれ値がある場合はどうでしょうか。外出自粛要請により、地域の食料品店は混雑しています。晴れた日には、公園などが混雑する場合があります。ポイントキャンペーンやセールなどにより、レストランや店舗の来店者数が増加することもあります。
 先程のアイスクリーム店の話に戻りましょう。火曜日はあまり忙しくないため、オーナーは火曜日に新しい味のプロモーションとしてトリプル無料キャンペーンを企画します。これにより、来店者数が倍増します。ロケーション履歴データからリアルタイムでインサイトが収集され、Google のシステムは混雑度の増加を検出し、Google マップに「ライブ」データとして表示します。これにより、店舗の混雑状況が通常と大幅に異なる場合でも、現在の混雑状況を確認できます。

リアルタイムの混雑情報の「ライブ」データ表示画面の画像。

ライブ混雑情報は、現在の混雑状況を表示します

データのプライバシー、安全性、セキュリティ 
 混雑度の算出において、プライバシーは最重要事項です。これは、プロセスのあらゆるステップに組み込まれています。Google では、差分プライバシーと呼ばれる高度な統計手法を使用して、混雑状況データの匿名性を保っています。差分プライバシーにはさまざまな手法がありますが、ロケーション履歴データセットに人為的に「ノイズ」を追加して、個人を特定することなく混雑度のインサイトを生成することもできます。正確な混雑度を表示するために、システムが十分な匿名データを得られない場合、混雑度データは表示されません。場所によっては混雑度が表示されないことがあるのは、これが理由です。
 安全な移動からアイスクリーム店の混雑度まで、Google マップは日々の問題を解決する方法を常に探っています。より詳しく知るには、過去の Google マップ の作り方シリーズも併せてご覧ください。