記憶とテクノロジーがつむぐ首里城
琉球王国の政治、外交、文化の中心地として威容を誇った首里城。沖縄の歴史や文化を象徴する城であり世界遺産にも登録されている観光名所ですが、2019 年 10 月、火災により正殿含む主要な建物 8 棟が焼損しました。現在は国による首里城の早期復元に向けた取り組みが進められています。
この度、 Google Arts & Culture は沖縄県と協力し、第 7 回世界遺産サミットの開催に合わせ、首里城の歴史や文化を伝える「 首里城復興 」を公開しました。本プロジェクトは 「 記憶をつなぐー思い出の写真から復元した首里城 」をはじめとする 8 つのオンライン展示で構成されており、写真から再構築された首里城の 3D 復元モデルをはじめ、城を彩る意匠やその歴史、復興に向かう姿、沖縄に伝わる美しい「手わざ」等を堪能することが出来ます。これらの展示は日本語及び英語でご覧いただけます。
本展示の公開に合わせ、沖縄県知事 玉城 デニー 様にお話しを伺いました。
本プロジェクトの一番の見所について教えてください。
皆さんに最も見ていただきたいのは、間違いなく首里城正殿の 3D 復元モデルです。この 3D モデルは、ボランティアのエンジニア、コンピュータ・ビジョンや VR の研究者、そして学生の方々が一丸となり構築して下さいました。モデルの作成にあたり首里城のデジタル復元と、今後何世代にも渡る琉球文化の継承・保存を願う世界中の約 3,000 人を超える皆さまから、8 万枚の首里城の写真データが寄せられました。ぜひ「 記憶をつなぐ―思い出の写真から復元した首里城 」をご覧になり、以前首里城を訪れたことのある方は在りし日の姿を懐かしく思い起こして頂くきっかけに、そして、これから来訪される皆様は、再建後の首里城を想像する糧としていただきたいと考えています。
他にはどのような展示がおすすめですか?
首里城跡は他のグスク群と共に「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として 2000 年にユネスコ世界文化遺産として登録されました。オンライン展示「 首里城正殿―日本と中国の様式を取り入れた琉球独自の意匠― 」では、建築的な視点から、建物自体が巨大な琉球漆器であると称される首里城正殿の特徴、美しさを感じていただけます。琉球漆器のような鮮やかな赤色や正殿の唐破風(からはふ)など、アジアや日本の影響を受けながらも、島国として独自に発展した琉球王国固有の様々な文化、信仰に触れていただくことができます。 また、「 空からみた首里城の昔と今 」では、19 世紀前半のものと推測されている絵図に始まり、今般の火災で焼失した首里城の姿を、まるで鳥になったような気分でみることができます。
このプロジェクトを通じ日本および世界の人々に何を伝えたいですか?
首里城は 1429 年の創建から先の大戦まで 4 度の焼失に見舞われながらも、都度、復元されてきました。特に先の大戦では跡形もなく破壊されましたが、復元を願う多くの人々の願いにより、1992 年に正殿が復元されました。首里城は今日の現代社会における復興と耐久力の美しい象徴です。 かつて沖縄は「琉球」とよばれ、450 年間続いた王国でした。首里城に象徴される琉球王国の歴史、文化に触れ、感じて頂けるものと思います。これらのオンライン展示にある首里城や琉球文化を通して、沖縄の素晴らしさを知るきっかけになることを願っています。