Create with AI: 東京藝術大学と AI を活用した創作活動を支援
AI がもたらす可能性は、ビジネスにおける単なる効率化や生産性の向上にとどまるものではありません。私たちは、AI が芸術分野においても、人間の創造性や表現力をより深く、豊かに広げるためのお手伝いができると考えています。
Google では、AI を表現者の着想から制作過程、実際の創作までの全ステージにおけるパートナーと捉え、クリエイターの皆さまの創作活動に AI をご活用いただくためのプログラム「Create with AI」を、日本 をはじめとするアジア太平洋地域で展開しています。本プログラムは、大学などのパートナーとの連携を通じて、AI が人間のクリエイティビティーを後押しする、新しい創作活動の可能性を探求することを目的としています。
日本では東京藝術大学をパートナーにお迎えし、次世代のアーティストとなる学生の皆さまや教育現場における活用方法についてのプログラムを実施しました。本プログラムでは、AI を用いた、これまでにできなかった新たな表現をテーマにした作品企画を募集しました。マルチモーダル AI の Gemini、最先端の動画生成モデルである Veo、音楽生成 AI モデルの Lyria といった Google の生成 AI をご活用いただいた応募作品の中から、それぞれ「学長賞」「ArtDX 賞」「Google 賞」を選出いたしました。
受賞作品は、WebAR、言葉の解析、映像表現、リアルタイム音楽生成と多岐にわたり、いずれの作品も、AI を単なる生産性や省力化のツールとしてではなく、制作のプロセスから実際の表現までにおけるパートナーとして捉え、自由なインタラクションや表現ツールとして、これまでできなかった新しい創作の実現へと一歩踏み出しています。
選出作品と概要は下記の通りです。
■ 学長賞
- 武信 朱璃『Uncertain Liminality』
赤外線撮影で捉えた不可視データを基に、LLMでノイズの異常値を解析。そのデータを画像・音楽生成AIへ渡すことで視覚・聴覚に再出力するインスタレーション。人間の知覚を超えた領域を可視化・可聴化する試み。
■ ArtDX賞
- 荒川 弘憲『Jam Dipper プロジェクト』
口腔内の触覚を通して鑑賞する未知のオブジェ。コンセプト構築から鑑賞会の設計に至るまでAIを対話パートナーとして活用。 - 一條 遥貴『世界のねじ曲げ方』
日常の風景写真にAI加工を施し、現実世界と対比させることで「目の前にある現実の確からしさ」を問う写真作品。 - 市川 開理『Pマーメイドも5000兆円欲しい。』
Geminiが生成する欲望のイメージと、MediaPipeで解析する鑑賞者の表情の変化を組み合わせたインタラクティブなゲーム作品。
■ Google賞
- 菊池 光峰『沈黙の解剖図譜 -不可視の愛に関する空間的考察』
人間関係における「言えなかった言葉(沈黙)」が抱える、相手を守る「救い」と自身を蝕む「呪い」の二面性をWebARで表現。日常のスナップ写真をスキャンすると、裏に潜む心象風景が幻想的な「解剖図」として立ち上がります。企画から実装までAIとの対話を重ねて制作されました。 - 野口 駆『背表詩』
書棚から本を選んで並べることで、背表紙のタイトルから新たな詩を作るプロジェクト。Geminiを活用してロゴ制作、ISBN読み取りやタイトルの検索、詩の印刷までをシステム化し、鑑賞者が背表紙から詩を作る空間を構築した。 - 児玉 悠輔『Does technology dream like humans? — borderless, signature // emergence』
「テクノロジーが夢を見る」という概念を起点に、AIと人間の思考が交錯する境界を探求したループ映像作品。Geminiを「脚本・演出家」、Veoを「撮影・現像所」と見立て、計算の隙間から生じる予期せぬ挙動を「AIの署名(signature)」として受容。現実と虚構の境目が揺らぐ新たな意味の創発(emergence)を試みました。 - 髙田 清花『Geogroover 〜街というレコードを聴き取る〜』
車椅子を「路面を読み取るレコードプレーヤー」と再定義したメディアアート。車輪の振動データをGeminiのパターン認識で素材(アスファルト、石畳等)へ分類し、その解釈を基に生成AIがリアルタイムで音楽を構築。世界中の路面データを共有・演奏する、地球規模のジャムセッション構想です。
AI は、世界中の表現者やクリエイターにとって、これまでにない創造の扉を開くパートナーとなると信じています。未来のアーティストたちが、AI を自らの表現を豊かにするためのツールとして使いこなし、これまでにないアートを生み出していくことを心から期待しています。