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1843 年のコンピューター先見者エイダ ラブレスを讃えて



昨年、私たち Google のチームは、Silicon Valley Comes to the U.K. というイベントの一環で、英国首相官邸 ダウニング街 10 番地を訪れる幸運に恵まれました。その際、官邸内の壁に飾られたいくつかの肖像画について質問をさせていただいた中に、一枚の堂々とした婦人の肖像画があり、「そして、これがあの高名なラブレス夫人です」と説明されました。世界の歴史が往々にしてそうであるように、女性の功績は過小評価されています。この例に漏れず、私たちはこの時「あの高名なラブレス夫人」については知りませんでした。その後、この人物こそが、チャールズ バベッジの解析機関についての著作でも知られる、世界で最初のコンピューター プログラマーだったと知った私たちの驚きは大きなものでした。

マーガレット カーペンターによるエイダ ラブレス夫人の肖像の画像。

マーガレット カーペンターによるエイダ ラブレス夫人の肖像

1836 年、U.K. Government Art Collection より、ウィキメディア コモンズ出典 

ラブレース伯爵夫人オーガスタ エイダ キング(Augusta Ada King, Countess of Lovelace) は、現在から 2 世紀ほど前、1815 年に産まれました。母であり数学者のアナベラ イザベラ ミルバンクは、 詩人ジョージ バイロンの間にエイダを授かったものの、エイダを「変わり者の詩人」バイロン卿のような人間に育てることは望みませんでした。こうした母の教えに沿って、エイダは幼少期から科学と数学を学んでいきますが、この母の教育方針は、しつけに関しては必ずしも成功したとは言えず、エイダはとても奔放な人生を送りました。しかしながら、エイダは母の教えに沿った形で母と同じ数学者になり、エイダ自身の言葉で poetical science (詩的科学) と称された数学の研究を進めていきます。 

17 歳になったエイダは、偶然チャールズ バベッジと知人になり、徐々にバベッジの解析機関に興味を持ち、1943 年にバベッジの研究についての文献を執筆するまでに至ります。この文献は、イタリア語で書かれた出版物の翻訳を基にしたものですが、エイダは自身で本文に多くの訳注を付け、文献の大部分はエイダの執筆によるものです。その中にはバベッジと共に記した、ベルヌーイ数を求めるための解析機関用プログラムのコードが掲載されており、これは世界初のコンピュータープログラムだと言われています。 

ここで最も驚くべき事実は、エイダが、解析機関の可能性について、実に遥かなる展望を持っていたことです。バベッジは、解析機関を単なる計算機と見なしていましたが、エイダは、この機関が持つより大きな可能性を理解していました。機関が単なる数字と数式のみに留まらず、決められたルールに従って記号を扱うこともできることに、エイダは気づいていたのです。 

「解析機関は、まるでジャカード織機が草花を紡ぐように、代数パターンを紡ぎだすことができる。」  

エイダ ラブレス (1843) エイダが雄弁に語ったように、この機関は数学以上の可能性を秘めていました。エイダは、機関が音楽を奏でることもできるだろうと記しています。 「例えば、楽曲と音階の科学的な関係が、こうした表現と適応の影響を受けているとするならば、この機関は精巧に、そして科学的に、複雑さや広がりを持った音楽を奏でるかもしれない。」 これは、数学から演算への驚くべき発想の飛躍であると言えます。エイダは、いつの日か一台のコンピューターが、無数のタスクをこなし、その限界はプログラマーの想像力次第でいくらでも広げていくことができる日が来ることを心に描いていたのです。世界初のコンピューターが誕生するよりもはるか 1 世紀も前に。 

私たちは、ダウニング街からアメリカに戻り、エイダについてもっと知りたいと思い、エイダの記憶をより鮮明に蘇らせたいと考えました。エイダの誕生日は、エイダのこのまるで予言のような言葉を称えるに相応しい日です。私たち Google は、エイダの功績を Doodle で祝いたいと思います。 

DoodleでGoogleと書いてある画像。

Design of doodle by Kevin Laughlin 

残念ながら、バベッジの機関は、バベッジの生前には完成せず、エイダのコンピューターに対するビジョンはその後1世紀以上、時の流れに埋もれてしまいます。ロンドン科学博物館がバベッジの階差機関を原図から完成させたのは、実に1991年のことです。現在、機関は実際に同博物館に展示されており、同じ物がカリフォルニアのコンピュータ歴史博物館にも展示されています。そして今、解析機関のレプリカを作成するプロジェクトが進められています。これにより、エイダの記した演算が、実際に想定された機関によって処理されることになるのです。 

こうした明かされない功績は、科学にとってはそう稀なことではありません。往々にしてこうした分野における女性の貢献は、広く伝えられないままに時が過ぎています。エイダのストーリーの場合、再度脚光を浴びることが叶いましたが、まだ多くの事実が時間の闇に横たわっています。だからこそ、過去や現在を問わず、テクノロジーや化学の分野での女性の業績を記念する、エイダ・ラブレス記念日といった取り組みが重要なのです。エイダについては、すでにいくつかの素晴らしい伝記が著され、 ウォルタ- アイザックソンも自身の次作にエイダを題材として選んでいます。 

私たちが、GDL の Women Techmakers シリーズ(英語)を始めたのも、現在の業界における優れた女性技術者の功績に光を当てたいという同じ理由からです。Googleは、このシリーズが、 AOL/PBSによって支援されるウェブサイトでありドキュメンタリーである Makers.com や、アカデミー女優ジーナ デイヴィスの SeeJane による、幼児番組におけるジェンダー バランス向上への取り組みのように、女性の地位の向上に貢献できれば嬉しく思います。 

本日の Doodle が、多くの皆さんをエイダの功績に導き、結果としてテクノロジーや化学の分野での女性の業績をお伝えするきっかけになれば幸いです。