Environmental Insights Explorer : インサイトにもとづいた地球温暖化対策を
温室効果ガス( GHG )の排出量を削減することは、気候変動の進行を防ぐために、とても重要です。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、地球温暖化を1.5 ℃以内に抑えるためには、「全世界の人為的な正味二酸化炭素(CO2)排出量は、2030年までに2010年の水準から約45%減少させ、2050年頃に『正味ゼロ』を達成する必要がある」と報告しています。
アジア太平洋地域では、都市のGHG 排出量が高いことがわかっていますが、これが建物の中における活動なのか、車や公共交通なのかなど、排出量を正確に測定することは複雑であり、簡単なことではありません。しかし、この情報がなければ、都市はどのような課題があるか、環境対策がどれだけの効果を持ちうるかも理解することができません。
こういった問題を改善するため、Google では 2018 年 9 月に Environmental Insights Explorer ( EIE )という無料のオンラインツールを公開しました。このツールを通じて、都市別に、簡単に温室効果ガス排出量のデータなどにアクセスし温暖化対策を計画、実行することが可能です。今回、京都市のデータを EIE に初めて日本の都市として追加しました。こちらからご覧いただけます。
京都市からは以下のコメントをいただいています。
「日本で初めて2050年までに二酸化炭素排出量正味ゼロを目指した都市として、また、京都議定書誕生の地として、Environmental Insights Explorer が日本では最初に京都市を導入することを大変光栄に思う。このツールによって、これまで多くの時間や費用をかけて算定・分析していたデータがすぐ活用でき、施策を検討する上で有用であると考えている。
また、二酸化炭素排出量正味ゼロを実現するためには、市民、事業者、NPO、大学・研究機関など、あらゆる主体の参画が不可欠であり、EIE で示された情報の共有やデータの分析も行いつつ、新たな施策を検討し、これまでの延長にとどまらない地球温暖化対策を強く推進していきたい。」
気候変動目標を設定するためのバリアをなくす
排出量データを集め分析するためには、コストと時間がかかります。世界の多くの都市では、毎年複数のデータを集めモデルを作り、分析をするという作業の費用を捻出することも、最新の排出量の全体像がわかるような年次調査に予算をかけることもできない状況です。
EIE では、建物と交通から排出される温室効果ガスの年間排出推定量と、太陽光パネルの導入による 1 年間の温室効果ガス削減予測量を都市ごとに公開しています。今回公開した京都市の排出推定量、削減予測量は下記の通りです。
年間排出推定量 建物 : 8,740,000 tCO2e、交通 : 6,690,000 tCO2e、年間削減予測量 : 1,660,000 tCO2e
より多くのデータによって気候変動に効果的なインパクトを
時間や予算が限られているために、排出インベントリの作成に積極的に取り組めない都市にとって、今後 EIE で公開していく温室効果ガス排出推定量や削減予測量といったデータが参考になればと考えています。データの公開を希望する自治体はこちらからご連絡ください。
温室効果ガス排出推定量のデータを提供することは、気候変動問題を解決するための一つのピースに過ぎません。ただ、EIE がもたらす「インサイト」が、各都市やその住民のみなさんが次のステップを考えるために役立つことを期待しています。